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宇治川のほとりの山荘に二人の娘とひっそり暮らす、八の宮(はちのみや)という皇族がいました。その人柄を慕い、宇治に通っていた薫は、晩秋のある夜、偶然、大君(おおいきみ)と中の君(なかのきみ)の姉妹を垣間見て(かいまみて=のぞき見て)、心ひかれます。この話を聞いた匂宮も心を動かします。また、薫はこの山荘の老いた女房・弁(べん)から不義の子であるという、自らの出生の真相を知らされます。《橋姫─はしひめ》
翌年、宇治に立ち寄った匂宮は中の君と文を交わし、心ひかれていきます。その後、八の宮は薫に死後のことを託して亡くなりました。薫は姉妹を支援しながらも姉・大君への思いを募らせ、大君に胸の内をうちあけます。《椎本─しいがもと》
八の宮の一周忌の後、薫は大君に求婚しますが、大君は中の君を薫にすすめます。「中の君と匂宮を結びつけ、大君の心を変えよう」と考えた薫の手引きで、中の君と匂宮は結ばれます。大君は二人の結婚を認めますが、薫と自身との結婚は拒絶し続けます。その後、皇族である匂宮の訪れは途絶えがちとなり、事情を知らない姉妹は失望します。妹の不幸を嘆く大君は心労のあまり病にかかり、薫に看取られて息絶えます。《総角─あげまき》
姉を亡くし、悲しみに沈む中の君を、薫は前にも増して世話をしました。やがて、匂宮は中の君を京の二条院に引き取ります。薫は大君の面影を宿す中の君への思いを胸に秘めますが、もはや、その幸福を願うしかありません。《早蕨─さわらび》
中の君を迎えた匂宮ですが、時の権力者・夕霧(ゆうぎり)の娘である六の君(ろくのきみ)との結婚で二条院から足が遠のきます。嘆く中の君を慰めるうちに思いを募らせる薫でしたが、中の君は薫に心を移さず、異母妹・浮舟(うきふね)の存在を知らせます。浮舟は八の宮と母・中将の君(ちゅうじょうのきみ)との間に生まれましたが、常陸介(ひたちのすけ)の後妻となった母に連れられ、東国で育っていたのでした。その一家が上京してきたことなどを、薫は弁の尼(八の宮の山荘の老いた元女房)から聞き出します。数カ月後、薫は宇治で偶然、大君の面影を持つ浮舟を垣間見て心を奪われます。《宿木─やどりぎ》
その頃、浮舟の結婚相手に選ばれた左近少将(さこんのしょうしょう)から一方的に破談にされます。居場所の無くなった浮舟は二条院の中の君のもとへ身を寄せます。しかし、匂宮に言い寄られ、三条の小家に身を隠すことになりました。薫は小家を訪れ浮舟と結ばれます。そして薫は大君との思い出の地・宇治に浮舟を移しました。《東屋─あずまや》
一方、浮舟が宇治にかくまわれていることを知った匂宮は、薫を装って宇治を訪れ、強引に契りを交わします。浮舟も情熱的な匂宮にひかれていきました。薫と匂宮との間で板挟みとなった浮舟は、追いつめられて死を思い、かくまわれていた屋敷をさまよい出ます。《浮舟─うきふね》
浮舟失踪後、入水と察した人々は遺骸の無いまま葬儀を営みます。匂宮は悲しみから床に臥し、薫も八の宮ゆかりの姫君たちとのはかないかかわりを嘆きます。《蜻蛉─かげろう》
浮舟は横川僧都(よかわのそうず)一行に助けられていました。その後、横川僧都の母と妹である尼たちの住む洛北小野の里に移され、自ら望んで出家してしまいます。翌年、宮中での横川僧都の世間話から薫に浮舟の生存が伝わります。《手習─てならい》
薫は浮舟の弟を小野に遣わしますが、浮舟は対面を拒み、薫の手紙も受け取りません。薫は思います。かつて自分がしたように、だれかが浮舟をかくまっているのではないか、と。《夢浮橋─ゆめのうきはし》〈以上、第三部〉
『源氏物語』はこれで終わります。この後については、読者の想像にまかされています。 |
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絵/宇治市源氏物語ミュージアム所蔵
『源氏絵鑑帖』より |
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